退職代行の注意点
退職代行サービスは「会社に出社せず辞められる」という利便性から、近年急速に利用者が増えています。
しかし、安易にサービスを選んでしまうと「退職に失敗した」「退職はできたがトラブルになった」というケースも少なくありません。
そこでこのページでは、退職代行を利用する際に必ず押さえておきたい注意点について詳しく解説します。
退職代行を利用する際の注意点

退職代行を利用する際に必ず押さえておきたい注意点として以下の4つのポイントで見ていきます。
- 運営者
- 雇用形態
- 引き継ぎ
- アフターサポート期間
1. 運営者

退職代行は運営者別に大きく3種類に分けることができます。
- 民間企業運営の退職代行
- 労働組合運営の退職代行
- 弁護士運営の退職代行
この内、依頼者の代わりとなって会社と退職交渉が可能なものは「労働組合」と「弁護士」が運営する退職代行のみで、「民間企業」が運営する退職代行は依頼者の代わりになることはできず、会社側と交渉や調整をすることは法律で禁じられています。
退職代行を行う際は、ほとんどの場合で「会社との交渉や調整」が必要となりますが、例えば以下のような業務はすべて「会社との交渉や調整」にあたる為、民間企業が運営する退職代行で行うことはできません。
- 退職日の交渉(即日退職を含む)
- 有給消化の交渉
- 給与支給の請求
- 会社貸与物の返却調整
- 必要な退職書類(離職票、健康保険資格喪失証明書、源泉徴収票など)の請求
こういった会社との交渉や調整が必要な業務を依頼したい場合は「労働組合」か「弁護士」が運営する退職代行を選ぶことになります。
なお、退職代行の運営者については、公式ホームページの「運営者情報・特定商取引法に基づく表記」のページで確認ができます。その他にも、代金を支払う際の「銀行口座の名義」で確認する方法もあります。
一見すると労働組合や弁護士の運営のような記載がある違法性の高い退職代行も増えていますので、必ず運営者情報や銀行口座で確認するようにしましょう。
2. 雇用形態

退職代行は法律を根拠にして退職を成立(雇用契約を解除)させますが、雇用形態により適用される法律が異なるため、退職代行を利用する際の注意すべきポイントが変わってきます。
雇用形態別に詳しく見ていきましょう。
正社員の場合
正社員は、原則として退職の意思表示から2週間が経過すれば退職が成立します(民法第627条1項)。
例えば、就業規則に「1ヶ月前に申し出ること」といった規定があっても、退職意思を会社へ伝えてから2週間で退職することができます。
会社が認める・認めないにかかわらず、2週間で退職を成立させることができるため、民間企業の退職代行でも対応が可能です。
ただし、有給休暇を消化したり、退職日を2週間後以外(即日退職や有休消化後の退職)にするなど、会社側と条件面での交渉が必要になる場合は、民間企業の退職代行では対応できず、弁護士または労働組合の退職代行を利用する必要があります。
アルバイト・パートの場合
アルバイトやパートは通常「期間の定めのない雇用契約」ですので、法律上の扱いは正社員の場合と同様で、退職の申し出から2週間後に退職が可能です。
注意点も正社員と同様になりますが、有給消化や給与支給を希望せず、ただ辞めたいということであれば、費用面から民間企業の退職代行に依頼しても良いでしょう。
契約社員の場合
契約社員は、雇用期間の定めがある「有期雇用契約」を結んでおり、原則として契約期間中の一方的な退職は認められていません。期間途中での退職の場合は、基本的に会社側の合意が必要となります。
ただし、病気やケガ・家族の介護など勤務が継続できない「やむを得ない事由」がある場合(民法第628条)や、契約から1年を経過している場合には、期間途中であっても会社の合意なく退職が可能です。
契約社員の場合は、退職条件が正社員やアルバイト・パートより厳しく、会社との交渉が必要となるため、弁護士または労働組合の退職代行を利用することになります。
公務員の場合
公務員(国家公務員・地方公務員)は民間企業の社員とは異なり、雇用関係が存在せず、労働基準法や労働組合法の適用対象外となる場合があります。
そのため、民間企業や労働組合の退職代行では対応できず、退職代行を依頼する場合は弁護士一択となります。
3. 引き継ぎ

退職代行を使う場合、通常は退職連絡日以降、会社に行く必要がありません。その為「引き継ぎを行わずに退職する」ことも可能ですが、状況によっては大きなトラブルに発展することもありえます。
引き継ぎに関する注意点についても見ておきましょう。
引き継ぎ義務はある?
「必ず引き継ぎをしなければならない」という法律上の義務はありません。その為、引き継ぎなしで退職すること自体、違法となることはありません。
ただし「退職者自身しか知らない業務があり、会社からの引き継ぎの要望を完全に無視した結果、会社に損失が発生した」など、損害との明確な因果関係が立証できる場合、損害賠償請求が一部認められたケースがあります。
退職で損害賠償が認められた判例
室内装飾を手がける会社(X社)が、取引先との3年間のビルインテリアデザイン契約を履行するため、常駐担当者として新たに採用したAさんが、入社後わずか数日で欠勤・退職しました。これによりX社は取引先との契約を解除され、X社はAさんに対して損害賠償を請求しました。
裁判の結果、会社が主張した損害額(約1,000万円)より大幅に減額されたものの、70万円の損害賠償支払いが認められました。
この事件は「入社直後・一切の引き継ぎなし・取引先との契約打ち切りという具体的損害の発生」という、複数の特殊条件が重なった極めて特殊なケースです。
一般的な引き継ぎ不足で訴えられたり、損害賠償が認められるケースは考えにくいですが、会社にとって不可欠な業務に従事していた担当者が何も残さず退職するケースは注意が必要です。
最低限の引き継ぎ資料を作っておく
自分しか知らない業務があるといった場合は、退職代行を行う前に引き継ぎ資料を作って残しておくことでリスクを限りなくゼロにすることができます。
具体的には、以下のような項目をA4用紙2〜3枚程度にまとめてデスクや共有フォルダに置いておくだけで十分です。
- 自分が担当している業務の一覧と基本的な進め方
- 取引先・連絡先の一覧
- 進行中のタスク・懸案事項
- データや書類の保存場所
完璧な引き継ぎ資料を作る必要はなく、「誠実に対応しようとした」という事実があれば、トラブルになる可能性を極限まで下げることができます。
4. アフターサポート期間

退職代行を利用する場合、退職が確定したら終わりではありません。
貸与品の返却、パソコンや携帯電話のログイン情報やロッカーの暗証番号の連絡、定期代の精算、会社においている私物の処理の調整をまず行い、その後、離職票・源泉徴収票などの必要書類の到着まで退職手続きは続きます。
退職代行サービスは「退職を確定させる」サービスの為、退職が確定した時点で業務終了となってしまう代行業者もあります。
退職は確定した後、自分で会社とやり取りをするハメにならないよう、退職代行を利用するのであれば「アフターサポート期間」は必須と考えておきましょう。
退職手続きは早くて1か月、長い場合は2か月近く掛かりますので、最低でも2か月以上のアフターサポート期間を設定している退職代行を選んでください。
まとめ

ここまで退職代行を利用する際の注意点についてご紹介してきました。
退職代行サービスを選ぶ際は、以下の4点を必ずチェックしましょう。
- 運営者
- 雇用形態
- 引き継ぎ
- アフターサポート期間
中でも一番重要なのは雇用形態に合った運営の退職代行に依頼すること。
例えば、契約社員の人が民間企業の退職代行の依頼した場合、退職できないリスクを背負うことになります。
退職代行はどこに頼んでも同じではありません。退職代行は「辞める」という意思を伝えるだけのサービスではなく、雇用形態や状況に応じて必要な交渉力・法的権限が異なりますので、契約前に運営元の情報をしっかり確認するようにしてください。
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| 名称 | 退職代行 退職サポート |
| 運営者 | 合同労働組合「私のユニオン」 |
| 所在地 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿3-3-13 西新宿水間ビル6階 |
| 連絡先 | info@taishoku-daiko.org |
| 業務内容 | 退職に関連する労働問題の解決・サポート |
