退職代行を使うと損害賠償を請求される?

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退職代行を使うと損害賠償を請求される?

退職代行を使ったら損害賠償を請求されますか?
退職代行を使っても損害賠償を請求されることは原則ありません。ただし、退職時の対応によっては損害賠償請求を受ける可能性があるので注意が必要です。

退職代行を使ったら損害賠償を請求されませんか?」——これは退職代行の無料相談で多くいただく質問のひとつです。

結論からお伝えすると、退職代行を使ったこと自体を理由に損害賠償が認められることは法律上ありません。退職の意思を第三者を通じて会社に伝えることを、損害賠償の根拠とする法律は存在しないからです。

ただし、退職の仕方によっては(退職代行とは無関係に)損害賠償が認められるケースが例外的に存在します。また、会社が脅しとして「訴えるぞ」と言ってくることもありえます。

このページでは、退職代行と損害賠償の関係を法律・判例・実務の3つの角度から整理し、損害賠償請求のリスクを最小化して退職する方法を解説します。

退職代行の利用は損害賠償の理由にならない

労働者には法律によって自由に退職する権利が認められています。

退職代行は退職の意思を本人に代わって会社へ伝えるサービスですが、退職代行を使うこと自体、会社に対する義務違反にも不法行為にも該当しません。

退職の意思伝達を第三者に依頼したとしても、会社に「損害」が生じたとは法律上認められないため、単に「退職代行を使って辞めた」という事実を理由に損害賠償が認められることはありません。

損害賠償が認められる法的要件

「退職代行の利用」は損害賠償の根拠にならない一方で、退職に付随した行為の内容によっては損害賠償が認められる可能性があります。

会社が元従業員に損害賠償を請求し、認められるためには、法律上、以下の要件がすべて揃っている必要があります。

要件 内容
① 義務違反の存在 退職者に法的な義務(労働契約上の債務・法令上の義務)の違反があること
② 損害の発生 会社に具体的・実際の損害が発生していること(「損害が出るかもしれない」では不十分)
③ 因果関係 義務違反と損害発生の間に直接的な因果関係があること(立証が必要)

この3つの要件がすべて揃わなければ、会社の損害賠償請求は裁判で認められません。特に因果関係の立証が難しく「従業員が辞めたから損害が出た」と証明するには高いハードルがあります。

退職時に損害賠償リスクがある5つのケース

退職代行を利用することでの損害賠償リスクはないことはすでにお伝えしましたが、上記の3つの要件を満たす可能性はないのでしょうか?

次に上記の3つの要件から考えて、退職者に法的責任が生じる可能性のあるケースを5つご紹介してみます。

1. 2週間以上の長期無断欠勤

退職代行を依頼する前から、2週間以上の無断欠勤が続いていた場合は注意が必要です。無断欠勤は労働契約上の債務不履行に該当し、業務への影響が大きければ損害賠償請求のリスクが生じます。

なお、2週間未満の無断欠勤は一般的に悪質性が低いと判断される傾向があり、損害賠償が認められるケースはまれです。また、パワハラ・長時間労働などの会社側の問題が原因となる無断欠勤の場合は、やむを得ない事情として考慮される場合もあります。

2. 一切の引き継ぎをせず、会社に大きな損害が出た

引き継ぎを行わずに退職することは、法律上は直接の義務違反とはなりません。

ただし「自分しか知らない業務の引き継ぎを完全に無視した結果、会社に損失が発生した」など、損害との明確な因果関係が立証できる場合、損害賠償請求が一部認められた判例があります(詳細は次章で解説します)。

一般的な引き継ぎ不足で損害賠償が認められるケースは考えにくいですが、会社にとって不可欠な特殊な業務に従事していた担当者が何も残さず退職するケースは注意が必要です。

3. 有期雇用で「やむを得ない事情」なく契約期間途中に退職

有期雇用契約(期間の定めがある雇用)の場合、契約期間の初日から1年以内であれば勤務継続ができない「やむを得ない事情」がない限り途中退職が制限されています(民法第628条、労働基準法附則第137条)。

「やむを得ない事情」の範囲は、病気やケガ、家族の介護などとなりますが、その他にもパワハラ・セクハラ・長時間労働・賃金未払いなどあった場合や会社との間で合意できた場合は途中退職が可能です。

4. 会社の機密情報の持ち出し・漏洩

退職前後に、会社の機密情報・顧客リスト・業務ノウハウなどを持ち出したり、外部に漏洩させたりすると、不正競争防止法違反・秘密保持契約違反として損害賠償請求の対象になります。

退職代行の利用とは無関係に、明確な義務違反に問われますので絶対にやめましょう。

5. SNSや口コミサイトで会社の名誉を傷つける投稿をした

退職後(または退職代行依頼後)に、会社の名誉を著しく傷つける投稿をSNSや口コミサイトなどに行うと、名誉毀損・信用毀損として損害賠償の対象になりえます。

匿名アカウントでも、情報開示請求によって特定される場合があるため注意が必要です。

実際に損害賠償が認められた判例

退職に関して損害賠償が認められた判例として、ケイズインターナショナル事件(東京地裁:平成4年9月30日判決)があります。

事件の概要

室内装飾を手がける会社(X社)が、取引先との3年間のビルインテリアデザイン契約を履行するため、常駐担当者として新たに採用したAさんが、入社後わずか数日で欠勤・退職しました。これによりX社は取引先との契約を解除され、X社はAさんに対して損害賠償を請求しました。

裁判の結果、会社が主張した損害額(約1,000万円)より大幅に減額されたものの、70万円の損害賠償支払いが認められました。

この判例は「損害賠償が認められたケース」として有名ですが、同時に「損害賠償が認められにくい」ということも教えてくれる内容です。

まず、認められた賠償額は会社の主張(1,000万円)の7%にすぎません。裁判所は、会社側にも採用・労務管理の落ち度があったと指摘し、大幅に減額しています。

次に、この事件は「入社直後・一切の引き継ぎなし・取引先との契約打ち切りという具体的損害の発生」という、複数の特殊条件が重なった極めて特殊なケースです。

一般的な退職代行の利用者が、このような判決を受けるリスクは非常に低いと言えるでしょう。

「引き継ぎ不足」で損害賠償が認められるハードルは高い

引き継ぎをしなかったことで損害賠償が認められるには、次の複数の条件がほぼすべて揃う必要があります。

  • その従業員でなければ対応できない特殊業務・取引があること
  • 一切の引き継ぎがなされなかったこと
  • 引き継ぎの欠如と実際の損害の間に明確な因果関係があること(会社側が立証)
  • 会社側に採用・管理上の落ち度がなかったこと

一般的な退職でこれらすべてが揃うのは非常にまれなケース。引き継ぎ資料を最低限作成しておくことによってリスクを消すことができます。

「損害賠償するぞ」は脅しがほとんど

退職代行を実施すると、極めてまれですが「訴えてやる!」「損害賠償請求する!」という会社からの反応がある時があります。しかしその大半は法的根拠のない脅しです。

会社が実際に訴訟を起こせない理由は4つあります。

第一に、勝てる見込みがない点です。
前述の通り、損害賠償が認められるには厳しい要件が必要であり、通常の退職では要件を満たしません。勝てない訴訟に多大なコストをかけることは会社としても非合理といえます。

第二に、時間とコストがかかる点です。
訴訟は弁護士費用・裁判費用・担当者の時間など、多大なコストがかかります。取れても数十万円の損害賠償を取るために数百万円の訴訟費用をかける会社はありません。

第三に、逆に訴えられるリスクがある点です。
根拠のない損害賠償請求は「不当訴訟」として、逆に会社が損害賠償を請求される場合があります。実際にそのような判決が出た裁判例(横浜地裁 平成29年3月30日判決)も存在します。

第四に、パワハラ・未払い残業代が掘り起こされるリスクがある点です。
訴訟になれば、会社側の在職中の違法行為(未払い残業代・パワハラ等)が反訴として問われる可能性があり、会社にとって大きなデメリットとなります。

このように「損害賠償するぞ」は脅しがほとんど。労働組合の退職代行は団体交渉権を持つため、こういった脅しにも毅然と対応できます。

損害賠償リスクと3つの事前対策

退職代行を依頼する前に、以下を準備しておくことで損害賠償リスクを限りなくゼロにすることができます。

1. 最低限の引き継ぎ資料を作る

「引き継ぎを一切しなかった」という状態を避けるだけで、損害賠償リスクは大幅に下がります。以下のような項目をA4用紙1枚程度にまとめてデスクや共有フォルダに置いておくだけで十分です。

  • 自分が担当している業務の一覧と基本的な進め方
  • 取引先・連絡先の一覧
  • 進行中のタスク・懸案事項
  • データや書類の保存場所

完璧な引き継ぎは不要です。「誠実に対応しようとした」という事実があれば、損害賠償が認められる可能性をなくすことができます。

2. 長期の無断欠勤前に退職代行へ依頼

会社に行けない状態が続いているなら、無断欠勤が長期化する前に退職代行に相談してください。

退職代行を依頼すれば、翌日から「無断欠勤」ではなく「退職の意思表示後の有給消化・欠勤」という扱いになり、損害賠償リスクを大きく下げることができます。

3. 退職後のSNS投稿・口コミに注意

会社に対して思うところがあったとしても、退職後に感情的な投稿をSNSや口コミサイトに行わないようにしてください。

どうしても会社の実態を伝えたい場合は、事実に基づいた表現に留め、誹謗中傷にならないよう意識するようにしましょう。

損害賠償のよくあるご質問

では最後に、損害賠償について退職代行を利用される方からよくいただく質問についてご紹介しましょう。

退職代行を使っただけで損害賠償を請求されることはありますか?
ありません。退職の意思を第三者を通じて会社に伝えることは合法であり、それ自体が会社への損害を生むとは法律上認められません。「退職代行を使ったから損害賠償を払え」という請求は法的根拠がなく、認められることはありません。
引き継ぎをせずに退職代行を使うと損害賠償を請求されますか?
可能性はゼロではありませんが、認められるケースは極めてまれです。損害賠償が認められるには「その人でなければできない業務があり、引き継ぎがなかったことで取引先との契約打ち切りなど具体的な損害が生じ、その因果関係が会社によって立証される」必要があります。一般的な業務であれば、引き継ぎ資料を最低限作成しておくだけでリスクを消せます。
有期雇用(契約社員)ですが、契約途中に退職代行を使うと損害賠償を請求されますか?
有期雇用の場合、契約期間の初日から1年以内は「やむを得ない事情」なしに途中退職することが制限されています(民法第628条)。ただし、やむを得ない事情(病気やケガ・家族の介護など)があったり、パワハラ・長時間労働・賃金未払いなどがある場合は退職することが可能です。また、退職代行(労働組合)が会社と交渉して合意を取り付けることで、有期雇用でも退職できます。
競合他社に転職すると損害賠償を請求されますか?
単純に競合他社へ転職することは、職業選択の自由(憲法第22条)として保護されており、それだけで損害賠償の対象にはなりません。ただし、入社時に「競業避止義務」に関する誓約書に署名しており、その範囲が合理的と認められる場合に限り、競合他社への転職が制限されるケースがあります。

 

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運営者情報

名称 退職代行 退職サポート
運営者 合同労働組合「私のユニオン」
所在地 〒160-0023
東京都新宿区西新宿3-3-13
西新宿水間ビル6階
業務内容 退職に関連する労働問題の解決・サポート
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