退職代行業者とは?
利用者が気をつけたい点を解説
20代30代の方を中心に退職代行サービスを使って会社を辞めた、という人が増えていますが、退職代行サービスを利用する際に一番悩ましいのが退職代行の業者選びです。
そこでこのページでは、退職代行を使って会社を辞めたいとお考えの方向けに、退職代行業者について詳しく説明した上で退職代行業者の選び方・選ぶ際に気をつけるポイントについてご紹介していきます。
1. 退職代行とは?
退職代行業者について触れる前にまず退職代行サービスについてチェックしておきましょう。
1-1. 退職代行サービスとは?
退職代行サービスとは、会社を辞めたい人に代わって会社へ退職の意思表示を伝えるサービスのことです。退職交渉のプロが退職できない方に代わって会社側と交渉し、素早くスムーズな退職ができるようにしてくれます。
通常、会社を退職する際は2か月〜半年くらい掛かり、その間は上司との面談や会社側からの引き留めなどの障害もあるものですが、退職代行サービスを使うことで、ご自身は会社とやりとりすることなく2週間程度(最短即日退職も!)の期間でスッキリと退職できます。
1-2. 退職代行は何を代行してくれる?
退職代行サービスで代行できる範囲は「会社への退職意思の伝達」と「会社との退職条件の交渉」となります。
具体的には、退職の申請、退職日の交渉、有給休暇の取得交渉、働いた分の給与支払い交渉などを法に則って代行します。その他にも社宅入居中の方の退去日の交渉、離職票などの退職関連書類の依頼なども行います。
1-3. 退職代行は会社との交渉が必要
「退職代行」と聞けば「会社に退職意思を伝えるだけ」とお考えになる人も多いのですが、実際に退職代行の業務を行っていくには会社との交渉が欠かせません。
退職日を決めるのも、退職日までの有休取得を調整するのも、今月分の給与の額や支払日を決めるのも、会社側との交渉事となります。
この「会社との交渉」については、退職代行業者選びを考える際に重要なポイントになりますので、後程詳しく触れることにします。
2. 退職代行業者の種類と選び方
退職代行サービスを提供しているのが「退職代行業者」ですが、業務をする上での資格や許認可は一切ありません。そのため多様な事業者が退職代行サービスを運営しているのが現状です。
2-1. 退職代行業者の種類
退職代行業者を分類すると、大きく次の3つに分けられます。
- 弁護士が運営する退職代行業者
- 労働組合が運営する退職代行業者
- 一般企業が運営する退職代行業者
順番に見ていきましょう。
1. 弁護士が運営する退職代行業者
先程、退職代行を実施する上で、退職日の日程や給与支払いなどで「会社との交渉」が欠かせないことをお伝えしました。
実はこの「会社との交渉」は、法律的に「法律事務」というものにあたり、基本的に弁護士のみができる独占業務として弁護士法に定められています。
【非弁行為の禁止】
弁護士法 第72条:弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
つまり弁護士以外が会社との交渉を行うと非弁行為として弁護士法 第72条に違反することになり、原則、退職代行サービスは弁護士しか提供できないということになります。
- 原則、退職代行サービスは弁護士の独占業務
このように弁護士法には退職代行サービスは弁護士の独占業務と定められていますが、一方で他の法律に別段の定めがある場合は弁護士以外でも「会社との交渉」をすることができるとも書かれています。
2. 労働組合が運営する退職代行業者
そして、弁護士法 第72条での「他の法律に別段の定めがある場合」にあたるのが労働組合が運営する退職代行業者です。
日本国憲法 第28条に団体交渉権として労働者が団結(労働組合)して会社側と交渉する権利が保障されています。
【団体交渉権】
憲法第28条:勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
労働組合が運営する退職代行サービスは、この団体交渉権を法的根拠に非弁行為の適用外として運営されています。
退職したい依頼者が退職代行サービスを運営する労働組合へ一時的に加入することで、団体交渉権を行使して会社と退職に関する交渉を行うわけです。
- 労働組合も適法に会社と交渉でき、弁護士同様に退職代行サービスを提供できる
- 退職の依頼者は一時的に労働組合へ加入する必要がある
3. 一般企業が運営する退職代行業者
退職代行サービスの運営者が弁護士や労働組合でないものはすべて「一般企業が運営する退職代行業者」となります。
具体的には、一般企業(株式会社・合同会社など)や法律系の士業(行政書士・社会保険労務士・司法書士)などが退職代行を運営しているケースが多いのですが、この「一般企業が運営する退職代行業者」には業務をする上で弁護士や労働組合のような法的根拠はありません。
つまり退職代行の業務の内「会社との交渉」はできない(やると弁護士法違反!)ということになります。
この一般企業が運営する退職代行業者は、法律事務にあたらない「会社への退職意思の伝達」のみできるということに注意しましょう。
実際、退職代行において会社との間でトラブルに巻き込まれるケースは、この一般企業が運営する退職代行業者がほとんどです。
- 法的根拠はない為、できるのは「会社への退職意思の伝達」のみ
- 会社側の出方によってはトラブルになったり、退職できないことも
2-2. 退職代行業者の選び方
それぞれの「退職代行業者ができること・できないこと」をまとめたのが、以下の表です。
退職代行業者別 一覧表
業務内容 | 一般企業 | 労働組合 | 弁護士 |
---|---|---|---|
退職意思の伝達 | ◯ | ◎ | ◎ |
退職条件の交渉 | × | ◎ | ◎ |
有休取得交渉 | × | ◎ | ◎ |
給与支払い交渉 | × | ◎ | ◎ |
離職票などの請求 | × | ◎ | ◎ |
裁判時の対応 | × | × | ◎ |
料金相場 | 1〜2万円 | 2.5〜3万円 | 5〜10万円 |
退職代行サービスは料金は1万円〜10万円とかなり幅がありますが、運営母体別で見ると 一般企業:1〜2万円・労働組合:2.5〜3万円・弁護士5〜10万円といった料金相場になっています。
一般企業運営の退職代行は料金的に金額が一番安いのですが、退職代行に必要な各種調整・交渉ができるのは、労働組合・弁護士運営の退職代行業者だけということを考えると「お金を払ってトラブルになった」ということにもなりかねず、おすすめはできません。
一方、法的根拠に基づいて運営される労働組合・弁護士運営の退職代行サービスですが、業務内容自体はどちらもほとんど変わりありません。運営に関わる違いを中心にまとめてみましょう。
- 代理人として依頼するため依頼時の手続きが若干煩雑
- “弁護士価格”で退職代行料金が高い(料金相場は5万円〜10万円)
- 会社との訴訟になった場合、そのまま引き受けてくれる(別料金)
- 傷病手当金や未払い残業代の回収も依頼できる(別料金)
- 組合員として会社と交渉するため労働組合に一時的な加入が必要(組合加入費がかかる業者も)
- 弁護士に比べ退職代行料金は安い(料金相場は2.5万円〜3万円)
- 会社との訴訟になった場合、別途弁護士に依頼する必要がある
- 未払い給料の支払い交渉はしてくれるが、傷病手当金や未払い残業代の回収は対応できない
簡単にいうなら労働組合と弁護士の違いは、訴訟になったときの対応の有無ですが、退職代行として提供するサービス自体には労働組合も弁護士も大きな違いがないので、料金相場が安い労働組合運営の退職代行を利用するのが良いでしょう。
ただし、会社とかなり揉めている状態で退職するような場合は、弁護士の退職代行を検討することも必要です。
3. 退職代行業者選びで気をつけたいポイント
弁護士・労働組合・一般企業別に退職代行業者の特徴を見てきましたが、ここからは退職代行業者を選ぶ際に気をつけたいポイントをご紹介していきます。
3-1. 基本的には労働組合運営の退職代行を選ぶ
我が国では、働く人たちは憲法や労働関係法によって手厚く保護されています。
退職についても同様で、通常の正社員は法律(民法)で退職の申し出から2週間経過すると会社の意向にかかわらず自動的な退職が認められていますし、契約社員の場合は民法の規定こそありませんが、就業を継続できないやむを得ない事情(妊娠・出産・子育て・親族の介護・本人の病気など)を伝えれば退職が可能です。
もし会社が退職する従業員を訴えても、従業員側によほど大きな落ち度(例えば、会社の重要設備を壊して辞めた等)がない限り確実に敗訴するだけですので、会社側も辞める従業員を訴えるようなことはしません。
前章で労働組合と弁護士の違いは、訴訟になったときの対応の有無と触れましたが、訴訟になることを考えなくていい「退職代行」の場合、料金の高い弁護士に依頼することは“オーバースペック”といって良いでしょう。
今月の給料はちゃんともらった上でできるだけ早く会社を辞めたい、というのであれば、コスパの観点から労働組合運営の退職代行サービスで十分です。
ただし、退職時点で会社と揉めている、未払い残業代のように会社と争ってでも勝ち取りたいものがある、といった場合は弁護士に依頼するのが良いでしょう。
3-2. 労働組合運営に見えて一般企業運営のケースに注意
退職代行業者の中には「労働組合運営」と謳っていながら、実際には一般企業が運営している場合があります。この “偽装労働組合” は一般企業運営の退職代行に分類され、法的根拠なく運営している退職代行業者です。
こういった業者は代金振込先の銀行口座名で見分けることができます。
代金振込先の銀行口座名を聞いてみて振込先の名義が労働組合でなく会社名の場合は、“偽装労働組合” が運営する退職代行業者ですので依頼するのは控えた方が良いでしょう。
3-3. 組合加入費が必要か確認する
労働組合が運営する退職代行では「団体交渉権」を使って会社と交渉する関係で、退職が完了するまでの間、運営元の労働組合に加入する必要があります。
そして労働組合加入の際に「組合加入費」が必要となる業者もあります。組合加入費は2,000円〜3,000円のところが多いようですが、退職代行料金にプラスで掛かってきますので組合加入費込みの総額料金で比較するようにしましょう。
ちなみに私ども退職代行『退職サポート』は労働組合運営として最安級の25,000円(税込)ですが、組合加入費を含めて追加費用を一切いただいておりません。
退職代行業者選びで気をつけたいポイントを見てきましたが、その内容をまとめると以下のようになります。
- 労働組合運営の退職代行がコスパ良くおすすめ
- 代金振込の銀行口座が労働組合名義か?
- 労働組合への加入費を含めた総額料金で比較する
退職代行『退職サポート』
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料金最安級 25,000円(税込)
組合加入費も無料!
4. 退職代行の利用の流れ
次は退職代行サービスを利用する際の流れを見ておきましょう。
参考までに私ども退職代行『退職サポート』の流れをまとめていますが、他の退職代行業者でもほぼ同様の手順と考えて良いでしょう。
5. 退職代行 よくあるご質問
最後に退職代行サービスについてお客様からよくいただくご質問をご紹介します。
- 本当に会社の人と会わないで退職できますか?
- はい、会社の人と会うことなく退職できます。会社との調整はすべてこちらで行うので電話でやり取りする必要もありません。
- 退職代行を使うと会社から訴えられませんか?
- 退職する自由は法律で認められた働く人の権利です。会社側が訴えても従業員側に余程の落ち度でもない限り確実に負けるため、訴えられることはありません。
- 退職前に引き継ぎをしなければいけませんか?
- 引き継ぎは退職に際して絶対にしなければならない“義務”ではありません。その意味では引き継ぎをしないで退職しても問題はありませんが、引き継ぎをしてから辞めて欲しいとこだわる会社が多いのも事実です。会社側が態度を硬化させないよう簡単でも良いので引き継ぎマニュアルを作成して郵送すると良いでしょう。
- 会社から連絡は来ないですか?
- ご本人への直接連絡はしないよう会社側へ念押してお伝えさせていただきますが、まれに連絡されてしまう場合もございます。会社側とのやり取りはすべて退職サポートで代行させていただきますので、万一、会社から連絡があっても出る必要はございません。
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6. まとめ
今回は退職代行業者について選び方や選ぶ際に気をつけるポイントについてご紹介しました。
退職代行業者には大きく3つの種類(弁護士・労働組合・一般企業)に分けられますが、法律で認められた業者を選ぶことが最も重要な選ぶポイントです。
- 労働組合:退職代行では一番コスパが良くおすすめ
- 弁護士:退職する際、確実に会社と揉めそうな方向け
- 一般企業:違法状態でおすすめできない
料金相場は、労働組合:2.5〜3万円・弁護士5〜10万円となっていることを考えると、会社側と大きな揉め事がなければ、労働組合が運営する退職代行業者を選べば良いでしょう。
ただし、労働組合の運営のように見えて実際は一般企業が運営していたり、労働組合への加入費用が別途掛かったりするケースもあるので注意が必要です。
労働組合運営の業者選びで気をつけたいポイントとしては、
- 代金振込の銀行口座が労働組合名義か?
- 労働組合への加入費を含めた総額料金で検討する
この2点に気をつけることで、安心できてコスパも良い退職代行業者選びができるはずです。このページの内容があなたのスムーズな退職につながると幸いです。
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退職代行『退職サポート』について
名称 | 退職代行『退職サポート』 |
運営者 | 合同労働組合「私のユニオン」 |
所在地 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿三丁目3番13号 西新宿水間ビル6階 |
業務内容 | 退職に関連する労働問題の解決・サポート |